退職後の健康保険-選択肢は3つ【入院など諸事情がある方の場合】

前回、「退職後の健康保険はどうすればいいの? 選択肢は3つあります」の記事で、退職後の健康保険について、3種類から選ぶことをお伝えいたしましたが、一般のご退職の方をイメージした記事でした。

「一般的なご退職の方」とは下記の2点になります。

  1. 自己都合で退職した方
  2. 特に大きな病気を患っていない方

このような方は、前回の記事 をご覧ください。

今回は、諸事情がある方について、前回の内容だけでは判断できない部分をお伝えいたします。

①ご家族の扶養に入る ②市区町村の国民健康保険 ③社会保険の任意継続

(協会けんぽ・健康保険組合)

加入期間 収入が少ない間

60歳未満130万円/年

60歳以上180慢円未満

(他に要件あり)

特になし

その市区町村に住んでいる間

退職日の翌日から2年間
保険料 保険料が加算されることはない

(負担なし)

前年度の収入や世帯人数によって決定

くわしくはお住いの市区町村へお問い合わせください

(会社都合退職の場合減免措置あり)

40歳未満と65歳以上の方は上限30,000円程度

40歳~64歳の方は上限37000円程度

くわしくはご加入していた保険者にご確認ください

負担割合 窓口負担3割 窓口負担3割 窓口負担3割
高額医療制度 加入時にリセットされる

(そもそもの自己負担限度額は調査必要)

加入時にリセットされる

(そもそもの自己負担限度額は調査必要

高額医療費の多数該当の回数を引き継ぐ

 

 

もくじ

  • 会社都合で退職された方
  • 病気等高額な医療費がかかる状態で退職された方
  • 退職後入籍の予定がある方
  • 夫婦で同時に退職された方

 

会社都合で退職された方

優先順位

  1. 家族の扶養
  2. 国民健康保険
  3. 社会保険の任意継続

ポイント

会社都合の退職者の場合、国民健康保険で保険料減免になるケースがあります。

雇用保険の特定受給資格者(倒産・解雇などによる離職)または雇用保険の特定理由離職者(雇い止めなどによる離職)に該当する方

雇用保険受給資格者証の離職理由コードが11、12、21、22、23、31、32、33、34の方はお住いの市区町村役場にお問い合わせください。

※厚生労働省HPに「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準」が掲載されております。

▽雇用保険受給資格者証(見本)クリックすると大きくなります

 

 

 

病気等高額な医療費がかかる状態で退職された方

優先順位

  1. 社会保険の任意継続
  2. ご家族の扶養
  3. 国民健康保険

※一概に上記の順とは言えない部分がございますので、下記の内容をじっくり読んでください

 

健康保険には、高額療養費制度があります。

高額療養費制度とは、医療機関や薬局でかかった医療費の自己負担額が、ひと月(月の初めから終わりまで)で一定額を超えた場合に、その超えた金額が支給される制度です。(標準報酬月額によって自己負担限度額が異なります)

この制度には多数該当という内容があり、高額療養費を受けた月数が1年間(直近12ヵ月間)で3月以上あったときは、4月目(4回目)から自己負担限度額がさらに引き下げられるという仕組みがあります。

例)標準報酬月額20万円の方・医療費100万円×3割=30万円の方は高額療養費該当で57,600円ですが、4回目から44,400円になります

抗がん剤治療などの方が該当するのですが、ざっくり言いますと…病気が長期化し、過去3か月57,600円ずつ支払っていた方が、今後とも57,600円支払い続けるのは大変なので、4か月目からは44,400円に減額しますよ。という制度です。この、44,400円に減額する月のことを多数該当というのです。

(※高額療養費については、後日記事をアップします。)

この多数該当に関係ある方が退職した場合、社会保険の任意継続を選ぶと、過去(在職中の社会保険)の高額医療の回数を引き継ぎますが、国民健康保険や家族の扶養に入ると その時点で0回にリセットされるため、多数該当月になるまで3か月間 一般の額の高額療養費になってしまいます。つまり、3か月間余計な出費になるということです。

ただし!

【注意】誰も教えてくれない、めちゃくちゃ大事なことをお知らせします!

上記をご覧の方は、健康保険の任意継続が有利だとお思いでしょうが、2つの例外もありますので記載します。

 

1.退職するご自身の標準報酬月額より扶養に入る家族の標準報酬月額が低い場合は扶養に入ったほうが有利の場合がある

高額療養費は区分があり、標準報酬月額が83万円以上の方は、自己負担限度額が252,600円(多数該当140,100円)、それに対し標準報酬月額が26万円以下の方は57,600円(多数該当44,400円)です。

仮に標準報酬月額 ご自身が83万円で家族が26万円だったとしたら、扶養に入ったほうが有利になります。(140,100円ー57,600円=82,500円節約)

 

2.前年度の年収が低く、その後入社した会社で収入が増え、のち退職の場合、国民健康保険が有利なことがある。

低所得者は国民健康保険の高額療養費の自己負担限度額自体が低く設定しているため、国民健康保険に加入したほうが有利の場合がある。

退職する会社の勤務期間が短い場合で、標準報酬月額が28万円以上の場合は、国民健康保険の高額療養費の自己負担限度額がそもそも低額の場合があります。会社都合退職の場合も低くなります。

お住いの市町村役場に問い合わせ、ご自身の自己負担限度額を確認し、任意継続保険の高額療養費自己負担限度額と比較し、有利なほうに加入してください。

 

※上記の場合は、高額療養費の自己負担限度額と毎月の健康保険料の両方の額を考えて検討してみてくださいね。

※病気の方は「傷病手当金」を受給しているケースもあると思います。傷病手当金には「退職後の傷病手当金」制度がございますが、退職後①任意継続②家族の扶養③国保 でも要件がそろっていれば、受給できるので、①②③ともに有利・不利はありませんのでご安心を…

  • 傷病手当金の受給要件については コチラ
  • 退職後の傷病手当金については コチラ

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退職後入籍の予定がある方

優先順位

  1. ご家族の(親の)扶養→入籍後、配偶者の社会保険の扶養
  2. 社会保険の任意継続→滞納喪失→入籍後、配偶者の社会保険の扶養
  3. 国民健康保険→入籍後、配偶者の社会保険の扶養

考え方は、一般のケースとほぼ一緒です。まずは親の扶養に入って保険料を節約します。ご家族が社会保険ではない場合は、2か3になります。

2か3は単純に保険料が安いほうを選びます。

また、2の社会保険の任意継続保険を選んだ場合は、本来、扶養に入るために任意継続保険を喪失することはできないのですが、自ら滞納すれば資格喪失するので、その後、配偶者の扶養に入ればよいのです。

くわしくは、別の記事に載せる予定です。

 

 

夫婦で同時に退職された方

優先順位

二人合わせて保険料が少ないものを選ぶ

  • ふたりで国民健康保険に加入
  • 主の方が社会保険の任意継続の被保険者、もうひとりがその扶養になる

【注意点】よく考えず、別々に社会保険の任意継続被保険者になると保険料が2倍になります。

※協会けんぽでは「健康保険は申請制度=申請は本人の意思表示=申請に誤りがなければ受理」

ということは、↓↓↓

別々に任意継続保険を申し込んでも受理され、お得な方法は教えてくれません。

世の中には、知らないと損することがいっぱいあるので、気をつけましょう!


まとめ

いかがだったでしょうか

  • 会社都合で退職された方
  • 病気等高額な医療費がかかる状態で退職された方
  • 退職後入籍の予定がある方
  • 夫婦で同時に退職された方

3種類の健康保険から選ぶことは、そのかたの状況により有利・不利がございます。

これは、なかなか教えてもらえません。

なぜなら、市区町村では国民健康保険の事だけ、協会けんぽや健保組合は社会保険の任意継続のことだけ、家族の扶養入る場合は家族の会社の事務員に聞くことになりますが、深い知識がありません。退職する会社の事務員さんも同じですよね。

なかなか むずしい内容ですので、過去の記事 も参考にゆっくり熟読してくださいね。

次回は、「社会保険の任意継続」に焦点をしぼった記事を掲載いたします。

それではまた!