退職後の健康保険はどうすればいいの? 選択肢は3つあります
読んでわかること
・選択肢が3つある。(家族の扶養に入る・国民健康保険・社会保険の任意継続)
・3つの選択肢の共通点と違いがわかる。
・それぞれのメリット・デメリットがわかる。
・退職後に加入する健康保険料が節約できる。
・健康保険以外に必要な手続きがわかる。
もくじ
・退職後の健康保険の選択肢は3つ
・共通点は?
・それぞれの違い・特徴は?
・比較検討が特に重要な方は以下の5例
・補足
退職後の健康保険の選択肢は3つ
退職すると退職と同時に健康保険が喪失し、下記のいずれかに加入する必要があります。
- 家族の扶養に入る
- 国民健康保険
- 任意継続保険
日本では、必ず健康保険に入らなければならなく、それを国民皆保険といいます。
ここでは、下記の一般的な会社員が離職したケースとして比較してみましょう
- 自己都合で退職した
- 特に大きな病気を患っていない
- 親もしくは配偶者が会社員(社会保険加入)
まずは比較表をご覧ください。
①ご家族の扶養に入る | ②市区町村の国民健康保険 | ③社会保険の任意継続
(協会けんぽ・健康保険組合) |
|
加入期間 | 収入が少ない間
60歳未満130万円/年 60歳以上180慢円未満 (他に要件あり) |
特になし
その市区町村に住んでいる間 |
退職日の翌日から2年間 |
保険料 | 保険料が加算されることはない
(負担なし) |
前年度の収入や世帯人数によって決定
くわしくはお住いの市区町村へお問い合わせください (会社都合退職の場合減免措置あり) |
40歳未満と65歳以上の方は上限30,000円程度
40歳~64歳の方は上限37000円程度 くわしくはご加入していた保険者にご確認ください |
負担割合 | 窓口負担3割 | 窓口負担3割 | 窓口負担3割 |
高額医療制度 | 加入時にリセットされる
(そもそもの自己負担限度額は調査必要) |
加入時にリセットされる
(そもそもの自己負担限度額は調査必要 |
高額医療費の多数該当の回数を引き継ぐ |
共通点は?
・医療機関での自己負担は3割(年齢によって2割) ※70歳~74歳の方は、異なる場合あり。
・再就職するときに、加入していた健康保険による有利・不利は無い。
それぞれの違い・特徴は?
①家族の扶養に入る(おすすめ)
社会保険の被保険者(会社員で保険証を持っている)の親・お子さん、もしくは配偶者がいて、その被扶養者になる。
加入用件として60歳未満は130万円未満/年、60歳~74歳まで180万円未満/ 年の収入で、被保険者に養われていることが前提。(ほかにも要件あり)
※家族の保険証を確認し、その保険者に電話して扶養に入れそうか? その場合どのような添付書類が必要か?聞いてみましょう。 保険証の種類についてはこちら
ここでチェック! 誰もくわしく教えてくれないポイントを教えちゃいます‼
扶養に入れる年収とは、過去の年収ではなく、扶養に入る時から将来に向かって1年間の収入になります。
つまり、過去の収入が多くても関係ありません。
離職前まで年収130万円以上あるなんて よくあることなので、勝手に扶養に入れない!なんて思ってはいけませんので注意してください。
良い点
1.ご自身の健康保険料が無料
2.会社員の家族(被保険者)の健康保険料は、あなたが扶養に入っても上乗せされない。
なぜなら、被保険者の月収(正確には標準報酬月額といいます)で保険料が決まっており、扶養の人数が増えても関係ないからです。
3.国民年金を払う必要がない。(2020年1月現在16,410円/月 分お得)
なぜなら会社員の家族(被保険者)の給与から厚生年金が控除されており、その中にあなたの国民年金分もまかなわれていることになり、扶養期間中はあなたが国民年金を払う必要がありません。また、被保険者はあなたのせいで厚生年金の控除額が上乗せになったりしませんのでご安心を
それから「退職した夫が、会社員の妻の扶養に入るなんてプライドが許さない」と気にしたり、恥ずかしがったりする方もおられると思いますが、 気にしないほうが良いです。保険料が無料ですから。
4.家族(被保険者)の勤務先の規定で、被保険者に扶養手当がもらえる可能性あり。
会社員の家族(被保険者)が勤めている 会社の規定で扶養家族がいると,、ひとりにつき5000円~10,000円の扶養手当が給料に上乗せで もらえるかもしれません。
注意点
1.雇用保険(失業給付)や傷病手当金を受けていると扶養に入れない場合があります。
【計算方法】 ※1ヶ月を30日、1年を360日(30×12ヶ月)と考え、扶養に入れる年収130万円 ÷ 360日 = 3,611円 つまり、失業給付や傷病手当金を日額3,612円以上受けていると、受けている期間は扶養に入れません。それらを一年中受給できるわけではないのに、受給している期間は入れないことになっています。
これは仕方がないことなので、受給が終わってから扶養に入りましょう。中には、受給せずに最初から扶養に入る方もおられます。逆に「がっちり失業給付をもらうほうが優先!」と考える方もいるでしょう。
2.被扶養者の検診は、特定健康診査といい、健康診断が簡易的になるため、よりくわしい検診が受けたい人は自己負担で受けることになります。
※被扶養者の特定健康診査は、腹部バリウム検査がありません。
なお、お住いの市区町村でがん検診等 実施している場合がありますので、申し込んでみることをお勧めします。
健康診断の違いについてはこちら (協会けんぽHP)
②国民健康保険
国民健康保険(国保)とは、市区町村が運営している健康保険です。
前年度の年収や家族構成等で保険料が決まります。
保険料を知りたい方は、ご自身でお住いの市区町村役場に問い合わせてみましょう。
国保は前年度の年収が保険料に直結するので、年収が高かったひとは保険料も高いでしょう。しかし、退職後ずっと無職で1年経過すると急激に保険料が下がったりします。
ここでチェック! 誰もくわしく教えてくれないポイント!
会社都合…倒産、解雇の場合、保険料の減免制度が適用される場合があります。
雇用保険受給資格者証を準備し、市区町村役場に問い合わせてみましょう。
③社会保険の任意継続
保険料に上限設定がある。加入者全員の標準報酬月額の平均値(2020年の標準報酬月額の平均値は30万円)で計算した保険料が上限になります。
標準報酬月額の平均値30万円 × 保険料率約10% = 約3万円が保険料が上限になります。
高額所得者がとても有利な保険です。(30万円以上の給料をもらっていた人におすすめ)
退職日の翌日から2年間の限定的な健康保険。
社会保険がある会社に再就職すると、任意継続保険が終了します。(手続き必要)
国保のほうが安くても、結婚して夫の扶養に入りたくてもやめられない。
でも、滞納すれば、逆にやめさせられるので、それをうまく利用して、国保に移るなんてことはアリです。
※くわしい健康保険料は、ご自身で加入していた保険者に連絡してみましょう。
比較検討が特に必要な方は以下の5例です
- 病気等高額な医療費がかかる状態で退職された方
- 会社都合で退職された方
- 退職後入籍・離婚の可能性がある方
- 夫婦で同時に退職された方
- すぐに就職先が決まっている方
→こちらの方は、大きなメリット・デメリットがありますので、別の記事にアップします。
補足
①国民健康保険や任意継続保険はご自身で保険料を支払うことになりますので、支払った領収証は大事に保管しましょう。確定申告の際、必要になります。
②この記事は、病院に行く際の「健康保険」の内容であり、「年金」の内容ではございません。
国民健康保険や任意継続保険に加入するかたは、別途、国民年金の加入手続きが必要になります。
年金の手続きは、お住いの市区町村役場か年金事務所にお問い合わせください。
③在職中は、住民税が給与天引きになっていたと思いますが、退職後は市区町村役場から直接請求がくると思います。請求書が来てびっくりしないように…
④雇用保険(失業給付)はハローワークにご相談ください。
まとめ
いかがだったでしょうか。
3つの健康保険を比較すると、家族がいらして、その扶養に入れるならそれがいちばんお得ですね。
国民健康保険と任意継続保険の保険料は、それぞれご自身で確認する必要があります。
3つの健康保険とも受診できる医療機関や負担割合が基本的に同じなので、家族全体で保険料の支出が少なくなるように計算して加入することをお勧めします。
つづきは次の記事にアップします。
それではまた!